子供と遊園地に行った時、写真を撮るのに、手首にでも巻いておいてさっと撮影出来るデジカメが欲しいなっと思いました。ふとRaspberry Pi Zeroでも作れるかなっと思ったので、その可能性をメモしておきます。作るかどうかは別にして。
■既製品
まず同コンセプトの既製品を見てみます。
ソニーの小型デジタルカメラ RX0II
コンセプト的には理想100%だけど高い。頑丈な作りとは言え、高いものだと気を使ってしまいます。
キーホルダーのようだけど撮影できるトイカメラ DSC Pieni
画素数は物足りないけども、コンセプト的には素晴らしい。
https://www.kenko-tokina.co.jp/imaging/camera/digitalcamera/4961607437438.html
あるいは、子供用のトイカメラでも十分な性能だったりします。
hyleton 子供用 デジタルカメラ
その他、アクションカメラとかは需要が多いので、色んな製品があるでしょうし、そんなわけで機能面、コスト面からも既製品で十分事足りそうな感じでした。だがしかし、作ることを考えます。楽しいから!
撮ろうと思ったらすぐに撮影できることを実現するためには、以下2点がポイントになりそうです。
・電源を入れてすぐに撮影できるか
・バッテリーはどれくらい持つか
■起動時間
下記のサイトによると、起動時間は通常で30秒程、色んなサービスを消しまくって10秒切るってとこらしい。
Raspberry Pi Zeroを10秒以内で高速起動する最も簡単な方法
http://nw-electric.way-nifty.com/blog/2017/04/raspberry-pi-ze.html
5秒あれば、ポケットのスマホを取り出し、ロックを解除して、カメラを起動できる。っと考えるとこれは遅すぎます。
となると、基本は電源を入れっぱなしで待機する事になります。
Raspbianにはスリープモードは無いようなので、バッテリーはどれ程必要になるのだろう。
■バッテリー
充電式だと無くなったらそこで終了なので、エネループを使う事を考えます。
エネループの容量
単三eneloop 1900mAh = 2.28Wh(1.2V)
単三eneloop pro 2450mAh = 2.94Wh(1.2V)
この容量で太刀打ちできるか?
(先に結論を書くと、微妙です)
下記のサイトによると、処理中やカメラ撮影中で5V 0.2Aで1W。待機中で、5V 0.1Aで0.5W。3.3Vでも起動可能で、消費電力は小さくなるとのこと。
Raspberry Pi Zero Wの消費電力
https://www.usagi1975.com/052520180823/
上記のサイトは比較的電力が必要なWiFiやBluetoothがオンの状態だけど、普段はWiFiは切ることで少しは省エネになるはず。
下記のサイトによると「5200mAhのバッテリーで、Pi Zero W本体のみ動作した時間は28時間42分」とあります。単純に割り戻すと、消費電力は5V 0.18Aの0.9W。
カメラとGPSをつけた状態だと、消費電力は5v 0.23Aの1.15W。
Pi Zero Wはモバイルバッテリーでどのくらいの時間動作するか
これらの情報から何となく平均0.9Wとして、昇圧する際のロスなどで、効率を80%とすると、エネループ1本で2時間程度となる。4本もっておけば8時間。Proなら10時間。
十分とは言えないけど、可能性はなくもない、なんとも微妙なとこです。
下記のサイトでは、エネループ3本でGPIOに直接繋げる事で、昇圧回路なしで動作するとの事。
Raspberry Pi Zero WにUSBではなくGPIOから電力供給
http://blog.robotakao.jp/blog-entry-125.html
これなら昇圧ロスも少なくなってより長持ちするかな。
また昇圧回路だけども、秋月等でお手軽に手に入るICだと、大抵、入力電圧が1.2Vだと0.1A以下。これだと電力不足になってしまう。
5V出力昇圧DCDCコンバーター
http://akizukidenshi.com/catalog/g/gK-13065/
となると、2本並列にするか…、それだとちょっとサイズが大きくなりすぎるかな。
下記のような最大電流2Aであるものの入力電圧が2Vからになっててどっちにしろ2本必要。
大電流出力昇圧モジュール
http://www.aitendo.com/product/16495
こんなのもあるけど、入力電圧が1.8v以上なので、やはり2本必要。
PowerBoost 1000 Basic – 5V USB Boost
PowerBoost 1000 Basic – 5V USB Boost
エネループ1本は昇圧が課題になるし、交換頻度が2時間は多すぎなので、エネループを使うとすれば、3本を手首に固定する仕様の方が良さそうかな。どっちにしろ、エネループでは微妙な感じです。
という事で、乾電池形状のリチウムイオン電池、18650電池を使うことを考えます。エネループより高価で汎用性は無いけど、小型軽量化には貢献するはず。
容量はメーカーによって1500〜5000mAh(3.6V)と、幅があるけど、こちらもパナソニック製のNCR18650Bで検討してみます。
パナソニック NCR18650B
容量は3.6Vの3150mAhで11.3Wh。エネループの約5倍。平均消費電力0.9W、エネルギー効率80%とすると、10時間持つことになります。2本持ってれば安心できます。
上記のウェブサイトでエネループ3本(1.2v✕3本=3.6v)をGPIO直付けで正常に動作している事を考えれば、たぶん昇圧回路も不要。カメラも正常に作動するか確認が必要だけれども、良い感じのスモールカメラが作れそうです。
まぁただ、冒頭でも書いた通り、ただ写真・動画を撮るだけなら、作るより安く既製品があるので、例えばバーコード読取デバイスとか、画像解析なりを使って、撮影と合わせて特定の処理を行う専用デバイスにすると価値が出てきそうですね。